皆様によく聞かれる質問に

「開封済みのオイルはいつまで使用できますか?」

というものがあります。

開封済みのオイルは、熱ダレによる劣化はありませんが、酸化や水分による劣化の可能性があります。

酸化について

開封済みボトルを長期保管することで酸化していくことが考えられます。

オイルの性状表の数値でTBN値というものがあります。ウェブサイトでは公表していませんが、フランスUnil opal社のウェブサイトよりテクニカルデータをご参照頂けますので、ご興味がある方はUnil opal社のサイトでご確認ください。

例えばMOTOR VS 15W-40のテクニカルデータを確認するとTBN値は9.2mg KOH/g となっています。0に近づくほど酸化している、という認識で構いません。

熱が掛かることにより酸化速度は速くなりますので、エンジンオイルとして使用され5,000kmほど走行すると、TBN値が2.0以下になります。(※走行環境により異なります)

弊社倉庫に2015年に開封したMOTOR VS 15W-40があったので、分析に出してみました。
7年前に開封したオイルのTBN値はどう変化しているでしょうか?

塩基価というのがTBN値です。

7.56 mg KOH/gです。
元々のTBN値が9.2 mg KOH/gですので、約17.8%ほど減少しています。

少し注意が必要ですが、使用に問題のないレベルと判断します。

※未開封と同等に使用できるというわけではありません。

水分の混入について

もう一つ懸念されるのが水分の混入です。
特に湿気の多く気温の高い夏と、乾燥し気温の低い冬を繰り返すことで水分の混入があるのではないかと考えられます。

先ほどの分析報告書を見ると、水分量が0.05vol%となっています。
開封して7年保管されているオイルでもほとんど水分の混入が見られませんでした。

開封して7年経過したオイルでも特に問題なく使用ができると判断できます。
2年~3年では酸化ももっと少ないと考えられますし、安心して使用して頂ければと思います。

上記の分析結果は一つの例ですので、すべてのケースに当てはまるわけではありません。
保管状況により状況は変わります。
一度開封したオイルは直射日光の当たらない冷暗所にて保管してください。