エンジンオイル、ギアオイルにはSAE粘度が設定されています。
5W-40とか75W-90とか表示されている数値のことです。

エンジンオイルのSAE粘度

SAE(Society of Automotive Engineers)J300で規定されているエンジンオイルのSAE粘度は低温時の粘度、100℃の動粘度、150℃のHTHSで分類されます。
Wはウインターグレードで簡単に説明するとマイナス何度まで流動性が保てるか、という数値です。
バナナで釘が打てる温度でもオイルは流動性を保ちます・・・・というアレです。

ちなみに上記の表で分かる通り、0W-25とか7.5W-35という粘度のオイルが市場に出ているようですが、SAE粘度ではありません。そのメーカー独自の表記ですのでご注意ください。

2015年に改訂されたSAE粘度では0W-8や0W-12が設定されています。
ACEA C7規格のHTHSが2.3~2.6なのでACEA規格では0W-16まではカバーされています。

省燃費のためか低粘度の規定が進んでいます。

エンジンオイルの粘度を上げるためにギアオイルを混ぜる・・・・なんて話をよく耳にします。
エンジンオイルの表記(5W-40など)に対してギアオイルの表記(75W-90など)が高いためです。

これは果たして正しい処方でしょうか?

ギアオイルのSAE粘度

SAE J306で規定されているギアオイルのSAE粘度は2019年に改訂され、多少の注意が必要です。
2018年以前の75W-80と2019年以降の75W-80では内容が異なります。
2018年に75W-80として発売されていたギアオイルが2019年の規定では75W-75に該当することもあります。75W-65というよくわからない粘度のギアオイルも出てくるかもしれません・・・・。

エンジンオイルの粘度調整にギアオイルを混ぜる

5W-40のエンジンオイルに75W-90を混ぜると粘度調整できるのか・・・・・
答えは・・・ケースバイケース。使用しているギアオイルによって異なります。

100℃の動粘度だけ比較すると5W-40は12.5~16.3、75W-90は13.5~24.0です。
16.3以上のギアオイルを使用すれば粘度は固く調整できますが、それ以下だとあまり効果はありません。
それに加えて最近のエンジンオイルはSAPS値が制限されています。ギアオイルには極圧性を上げるためにエンジンオイルでは制限される硫黄やリンが入っていることが多く、触媒を痛めるなど別の問題が起こる可能性があるのでお勧めしません。

0W-20指定の車に10W-50のエンジンオイルを使用しますか?

そんなわけない・・・・とお思いでしょうが、ギアオイルの場合はどうでしょうか?

75W-80指定の車に75W-90のギアオイルを使用していませんか?

75W-80のギアオイルはエンジンオイルでいうところの0W-20から5W-30の範囲に含まれます。
75W-90のギアオイルは5W-40から10W-50あたりの範囲に含まれます。
(Wの数値はあまり関係ありませんが、わかりやすくするために記載します。)

75W-80指定の車に75W-90のギアオイルを使用する、ということは、エンジンオイルでいうところの0W-20指定の車に10W-50を使用しているのと同じぐらいの粘度差があるということを知って頂ければ幸いです。